馬蹄石について(萬福寺)

馬蹄石
馬蹄石
馬蹄石

  萬福寺の山門を入るとすぐに3メ−トル程の大きさの石があります。聖徳太子が黒駒に乗って降り立ったと言われる石で、“馬蹄石”とも“こまづか”とも呼ばれています。江戸時代には俳諧に造詣が深かった萬福寺の住職三車上人により“こまづか集”という歌集が編纂されています。
 『引く駒もみのりのかひに跡とめて をしえゆるがぬとゞろきの石(内大臣通茂卿)』、 『かしこくも法に心をひく駒の のこしおく石ぞ動かぬ(従一位資枝卿)』
  これらの和歌や俳句は萬福寺の馬蹄石を詠んだ句で、畑の「実り」を「御法」に、「かひ(甲斐)」を「甲斐の国」に、世に轟くという意味の「轟き」を「等々力」にかけるなど私たちに身近なことばが歌の技巧になっています。
  そして馬蹄石は、親鸞聖人が萬福寺において甲斐の国の人びとに弘められた御教えの堅固さ の象徴として歌われています。 大森快庵という江戸時代の郷土史家が編んだ「甲斐名所図会」にも、萬福寺の馬蹄石を紹介した一文があり、『馬蹄石あり。或ひは駒塚とも云ふ。長二間廣九尺ありて石の面平らにして馬蹄痕四あり。傳云ふ厩戸王子(聖徳太子)甲斐の黒駒に乗り、富士山・駒岳に登りて環りて此石上に駐しとなん』と紹介されています。

 

 

 

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